【ジョン・スコフィールド/ギター】

John Scofield(Gt)1951-
ガイド nea(ジャズギタリスト)

パット・メセニーと並ぶ、現代ジャズギターの巨匠。
ジャズギターにおける”Blues”の果たす役割は、年々小さくなってきます。その中でこのスコフィールドは「常にそのプレイの根底にはブルースがある」という点で、ジャズギターの非常に正統な継承者と位置づけることができるかもしれません。時にファンク路線に走ったり(80年代)、クラブシーンに接近したり(90年代後半)と様々なジャンルに果敢にチャレンジする人でもありますが、同時に常にブルースが土台にあるという点で、まったくブレない人、ということも言えるんじゃないでしょうか。彼の素晴らしいアルバムの中から、とりあえず6枚ほどあげてみました。


   John Scofield Live、1977
これは彼の2ndアルバム。初期ではこれが一番有名です。特に6.Softly As In〜でのぶっ飛んだプレイに圧倒されて彼のファンに走った、という人は多いですし、僕もその1人です。荒削りながらも、既に彼の基本的なスタイルは確立されていると言って良いと思います。ピアノがリッチーバイラークというのも今考えると、ちょっと意外な組み合わせ。


   Pick Hits Live、1987
その後、Miles Davisのバンドに加入することによって彼は大きく飛躍することになります。またサウンドも、よりハードなファンク路線を進むことに。その時期の集大成的なアルバムです。彼のギターはもちろんのこと、Dennis Chambers(ds)のド迫力なプレイも聞きどころ。


   A Go Go、1998
「Time on my hands」「Mean to be」といったジャズ回帰のアルバム、メセニーとの共演作、などを経て、今度はクラブジャズ的な方向へ再び大きく舵を切る、その幕開けのアルバム。ジャムバンドの雄メデスキ・マーティン&ウッドと共演しています。というより、これはもうジョンスコを加えて一つの新しいバンドと言っても良いくらいにハマってます。従来の、彼の複雑なチェンジの上でうねうねとアウトする部分を期待していたファンからは賛否両論でしたが、僕はこれはとてもカッコ良いアルバムだと思います。同コンセプトの次作「Bump」も良いです。


   Uberjam、2002
クラブジャズ路線をさらに押し進めたアルバム。打ち込みの多用や過剰なエフェクターの使用など、これも賛否分かれるアルバムですが(このヘンなジャケットも含めて。笑)僕個人としてはこれを彼の最高傑作に押したいと思います。もうここら辺りになってくると完全に吹っ切れたというか、ジャズギタリストという枠は完全に超えて「ジョンスコフィールド」というひとつのジャンルを確立した感があります。


   EnRoute : The John Scofield Live、2004
そして再びジャズに回帰したアルバム。Steve Swallow(bs)、Bill Stewart(ds)とのトリオ&ライブアルバム。特にスティーブ・スワローのベースはジョンと一番相性が良いんじゃないでしょうか。生徒に、ジャズ的なジョンのお勧めを聞かれた際は、いつもこれを進めています。



   A Moment's Peace、2011
バラード中心の、美し過ぎるアルバム。このアルバム時点で彼も60歳。もう「完成」された感があります。もはやコンディミも過度なエフェクターも、速いパッセージも、何も特別なことをしなくても「彼以外の何者でもない」という域に達したんじゃないかなと思います。Brian Bladeとは初共演、Larry Goldings(pf、org)もいい。こんなのを聞くと、このままこのメンバーで4〜5枚続けて出して欲しいと思ってしまいます。


<nea / ジャズギタリスト>ロックギターを中野重夫に、ジャズギターを布川俊樹に師事。上京後バックバンドやセッションギタリストとして、また作/編曲家としてCM、ゲーム音楽も手がける。代表作に「飛龍の拳」(任天堂)。30歳よりジャズに転向、その後、渋谷毅、石井彰、布川俊樹、坂田稔をはじめ数々のトッププロと共演。2007年より大阪に活動拠点を移す。 ネア・ギタースクール代表。
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